梅雨の季節に味わいたい。おすすめの詩・5選

梅雨の時期は長雨が続いて、晴れた青空と太陽がなかなか見られません。それでも潤う季節ならではの風情がありますよね。

梅雨の頃におすすめしたい詩を5作、選んでみました。時に気持ちをさっぱりとさせ、時に心にしっとりと寄り添うような作品です。

各リンク先から、詩の全文をごらんくださいね。

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茨木のり子「六月」

どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
どこまでも続き すみれいろした夕暮は
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる

「現代詩の長女」と称されている茨木のり子さんの、教科書でもおなじみの詩。
雨雲の向こうで輝く太陽を信じさせてくるような言葉です。
実りあるユートピアがそこにあります。

茨木のり子の詩「六月」…美しい村と街と人々の力
茨木のり子さんの「六月」という詩を紹介します。梅雨の鬱陶しい日はもちろん、晴れない気持ちを抱えているときも、爽やかな光と...

中原中也「六月の雨」

またひとしきり 午前の雨が
菖蒲のいろの みどりいろ
眼うるめる 面長き女
たちあらはれて 消えてゆく

中原中也の、知る人ぞ知る名作。
菖蒲の紫とみどりのコントラストが目に鮮やかです。

中原中也のソネット「六月の雨」
中原中也の詩で、「六月の雨」が好きだという人は多いのではないでしょうか。私もまさにそうです。梅雨になると特に、味わいたく...

谷川俊太郎「生きる」

生かす
六月の百合の花が私を生かす
死んだ魚が生かす
雨に濡れた仔犬が
その日の夕焼が私を生かす

谷川俊太郎さんには「生きる」という詩が二つあります。
こちらの詩では、六月の百合や雨に濡れた仔犬が描かれていて、梅雨の匂いがします。

谷川俊太郎の詩「生きる」…六月の百合の花が私を生かす
谷川俊太郎さんの「生きる」という詩を紹介します。実は同じタイトルの詩が二つ存在していて、詩集『うつむく青年』(1971年...

萩原朔太郎「こころ」

こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて

こころを紫陽花などに例えて、その不思議を問いかけている詩。
メランコリックな雰囲気は、梅雨にふさわしいです。

萩原朔太郎の詩「こころ」の意味は?現代語訳と解説
萩原朔太郎の「こころ」は、不思議な詩です。この世にあるどの詩もそうですが、「こころ」は特に、読む人や読む時によって解釈が...

三好達治「乳母車」

淡くかなしきもののふるなり
紫陽花いろのもののふるなり
はてしなき並樹のかげを
そうそうと風のふくなり

「乳母車」の季節は、天鵞絨の帽子や渡り鳥が描かれていることから、おそらく秋だと思います。
それでも、「紫陽花いろのもののふるなり」という言葉は、梅雨にしっくりきます。

三好達治の美しい叙情詩「乳母車」…淡くかなしきもののふるなり
三好達治の詩「乳母車」を初めて目にしたとき、その美しさに息を零しそうになりました。三好達治の代表作であることはもちろん、...

雨に関する詩のまとめ

梅雨の時期におすすめしたい詩を5作、紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。

当ブログでは梅雨に限らず、「雨」に関する詩をまとめたページもあります。

雨に関する詩のまとめ
雨にまつわる詩について書いた記事をまとめました。雨音のオノマトペが生きている詩から、静かに潤う詩まで、さまざまな作品を揃...

一部、この記事と内容が重複していますが、もし良かったらご覧くださいね。

(宮沢賢治の「雨ニモマケズ」や、三好達治の「大阿蘇」などを取り上げています)

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