梅雨の時期は長雨が続いて、晴れた青空と太陽がなかなか見られません。それでも潤う季節ならではの風情がありますよね。
梅雨の頃におすすめしたい詩を5作、選んでみました。時に気持ちをさっぱりとさせ、時に心にしっとりと寄り添うような作品です。
各リンク先から、詩の全文をごらんくださいね。
茨木のり子「六月」
どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
どこまでも続き すみれいろした夕暮は
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる
「現代詩の長女」と称されている茨木のり子さんの、教科書でもおなじみの詩。
雨雲の向こうで輝く太陽を信じさせてくるような言葉です。
実りあるユートピアがそこにあります。
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中原中也「六月の雨」
またひとしきり 午前の雨が
菖蒲のいろの みどりいろ
眼うるめる 面長き女
たちあらはれて 消えてゆく
中原中也の、知る人ぞ知る名作。
菖蒲の紫とみどりのコントラストが目に鮮やかです。
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谷川俊太郎「生きる」
生かす
六月の百合の花が私を生かす
死んだ魚が生かす
雨に濡れた仔犬が
その日の夕焼が私を生かす
谷川俊太郎さんには「生きる」という詩が二つあります。
こちらの詩では、六月の百合や雨に濡れた仔犬が描かれていて、梅雨の匂いがします。
![](https://mahoblog.com/wp-content/uploads/2020/05/yuri-320x180.jpg)
萩原朔太郎「こころ」
こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて
こころを紫陽花などに例えて、その不思議を問いかけている詩。
メランコリックな雰囲気は、梅雨にふさわしいです。
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三好達治「乳母車」
淡くかなしきもののふるなり
紫陽花いろのもののふるなり
はてしなき並樹のかげを
そうそうと風のふくなり
「乳母車」の季節は、天鵞絨の帽子や渡り鳥が描かれていることから、おそらく秋だと思います。
それでも、「紫陽花いろのもののふるなり」という言葉は、梅雨にしっくりきます。
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雨に関する詩のまとめ
梅雨の時期におすすめしたい詩を5作、紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
当ブログでは梅雨に限らず、「雨」に関する詩をまとめたページもあります。
![](https://mahoblog.com/wp-content/uploads/2020/07/ame-matome01-320x180.jpg)
一部、この記事と内容が重複していますが、もし良かったらご覧くださいね。
(宮沢賢治の「雨ニモマケズ」や、三好達治の「大阿蘇」などを取り上げています)
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