【7月の詩】三好達治「七月は鉄砲百合」

当ブログでは毎月1編ずつ、その月にちなんだ詩を紹介する予定です。

7月の今回は、三好達治「七月は鉄砲百合」です。

七月は鉄砲百合

七月は鉄砲百合
烏揚羽がゆらりと来て
遠い昔を思はせる

七月はまた立葵 色とりどりの
また葡萄棚 蔭も明るい
彼方の丘の松林 松の香りに蟬の鳴く

こんな明るい空のもと
昔の人はどこへいつたか
忘れたふりはしてゐるが

風だから声はやまぬか
来ただけはどこやらへゆく
その道の上 七月のまつ昼ま

まてしばし
烏揚羽がゆらりと来て
艶な喪服をひるがへす

三好達治というと、教科書に掲載されている「雪」「乳母車」「大阿蘇」のような詩を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

これらの詩は、日本の古き良き情景を歌いつつも、どこか鮮明な新しさがあります。

三好達治がフランス文学に造詣が深いことも関係しているのかもしれませんし、次々と作風を変えながら詩を生み出してきたことも関係しているかもしれません。

私は三好達治の詩を目にすると、輪郭が際立っている映像が不思議と脳裏に浮かびます。

さて、今回紹介した「七月は鉄砲百合」は、三好達治が晩年に発表した作品です。

鉄砲百合の白と烏揚羽の黒の、コントラストがみごと。この詩の奥には、どんな物語が潜んでいるのでしょうね。

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誕生日・忌日一覧(7月)

※青文字の氏名をクリック(タップ)すると、その詩人の作品一覧を見ることができます。

誕生日

立原道造 1914年(大正3年)7月30日-1939年(昭和14年)3月29日

忌日

上田敏 1874年(明治7年)10月30日-1916年(大正5年)7月9日

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