【6月の詩】北園克衛「六月の蜜柑水」

当ブログでは毎月1編ずつ、その月にちなんだ詩を紹介する予定です。

6月の今回は、北園克衛きたぞのかつえ「六月の蜜柑水」です。

六月の蜜柑水

永遠に咲かない薔薇がないように
詩よ! 僕の指にも咲きたまえ

夏の優しい夕暮れに
花束を買う街のひとたち

あなた達の静かな頬に咲く
微笑のように微笑のように

北園克衛(1902-1978)は、大正から昭和にかけて活躍したモダニズム詩人。写真家・デザイナーとしての顔も持ちます。

私も北園克衛のアートワークをいくつか目にしたことがありますが、余白を生かした作品はどれも新鮮で、まさに詩的です。

(写真集は現在、入手困難なので、可能であれば図書館で借りて見ることをおすすめします。ネットで検索しても、いくつか見ることができますよ!)

さて、肝心の「六月の蜜柑水」について。

私はこの詩のタイトルを見るたびに、蜜柑水の味を想像します。甘酸っぱいなかにも、爽やかさが広がるような味でしょうか。夏の優しい夕暮れのオレンジ色にも、重なりますね。

「詩よ! 僕の指にも咲きたまえ」というフレーズは、ペンを走らせる指から、微笑ましい詩が生まれますようにと願っているようです。

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誕生日・忌日一覧(6月)

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誕生日

茨木のり子 1926年(大正15年)6月12日-2006年(平成18年)2月17日

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