【1月の詩】新川和江「元旦」

当ブログでは毎月1編ずつ、その月にちなんだ詩を紹介する予定です。

1月の今回は、新川和江さんの「元旦」です。

元旦

どこかで
あたらしい山がむっくり
起きあがったような……

どこかで
あたらしい川がひとすじ
流れだしたような……

どこかで
あたらしい窓がひらかれ
千羽の鳩が放されたような……

どこかで
あたらしい愛がわたしに向かって
歩きはじめたような……

どこかで
あたらしい歌がうたわれようとして
世界のくちびるから「あ」と洩れかかったような……

あけましておめでとうございます。

元旦という時は、不思議なものですね。

山も川も何もかも新しく生まれ変わって、未来がぱっと開けていくような思いに立たされます。

新川和江さんの「元旦」の詩は、「どこかで/あたらしい…」という頭韻とリフレインが心地よく、まるで新年に向かって高鳴っている鼓動が、この詩から聴こえてくるようです。

そういえば、「あけましておめでとうございます」という挨拶も、「あ」から始まるのですね。

今年も素晴らしい歌が、この世界に満ちあふれますように。

1月におすすめの詩

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石垣りんさんの「太陽のほとり」も、新年に特に味わいたい詩です。

 

誕生日・忌日一覧(1月)

※青文字の氏名をクリック(タップ)すると、その詩人の作品一覧を見ることができます。

誕生日

堀口大学 1892年(明治25年)1月8日 -1981年(昭和56年)3月15日

山村暮鳥 1884年(明治17年)1月10日 -1924年(大正13年)12月8日

吉野弘 1926年(大正15年)1月16日 -2014年(平成26年)1月15日

北原白秋 1885年(明治18年)1月25日 -1942年(昭和17年)11月2日

忌日

吉野弘 1926年(大正15年)1月16日 -2014年(平成26年)1月15日

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