金子みすゞさんにとって、空は憧れの的であり、想像の翼を羽ばたかせることができる場所でした。
これからみすゞさんの、空にまつわる詩を3編紹介しますね。
「ひろいお空」…空への憧れ
ひろいお空
私はいつか出てみたい、
ひろいお空の見えるところへ。町でみるのは長い空、
天の川さえ屋根から屋根へ。いつか一度は出てみたい。
その川下の、川下の、海へ出てゆくところまで、
みんな一目にみえるところへ。
「みすゞさんも、長い空を目にしていたなんて!」
私はこの詩を初めて見たとき、びっくりしました。
立ち並ぶ建物に挟まれた、細い道から見上げる「長い空」。現代の都心部で暮らす私にとっては、おなじみの光景です。その長い空を、明治生まれのみすゞさんがすでに言葉にしていたことに、ハッとさせられました。
みすゞさんは二十歳の頃から、山口県下関市にある書店・上山文英堂で働いていたため、長い空を毎日のように眺めていたかもしれないです。下関は当時から港町として栄えていました。
「ひろいお空」に対する果てしない憧れが、この詩から感じられます。
「青い空」…空と海の詩
青い空
なんにもない空
青い空、
波のない日の
海のよう。あのまん中へ
とび込んで、
ずんずん泳いで
ゆきたいな。ひとすじ立てる
白い泡、
そのまま雲に
なるだろう。
みすゞさんは、日本海に面した仙崎で生まれ育ちました。(仙崎がある現在の長門市と、先ほど触れた下関市は、お隣同志の町です)
そのためか、海にまつわる童謡を数多く書いています。
代表作である「大漁」や「お魚」は、漁師町で育ったみすゞさんならではです。
「青い空」は、青空を海に見立てているんですね。こんな風に、青空のまん中にドボンと飛び込むことができたら、どんなに気持ちがいいだろうと思います。
「雲」…空のファンタジー
雲
私は雲に
なりたいな。ふわりふわりと
青空の
果から果を
みんなみて、
夜はお月さんと
鬼ごつこ。それも飽きたら
雨になり
雷さんを
供につれ、
おうちの池へ
とびおりる。
みすゞさんは、ファンタジーも数多く書いています。
この詩は発想がユニークですね。雲になって、お月さんと鬼ごっこして、雷さんを供につれるなんて、自由奔放に飛び回っています。
大空にはどんな物語も、ありありと思い描くことができるのですね。
なお、この詩は中国語に訳されて、中国の小学校の教科書にも採用されています。海を越えたお隣の国でも、みすゞさんの詩が親しまれているなんて驚きです。
コメント
良かった
良かった
いい詩がいっぱい!
ありっす
私昔から詩が大好きで・・・!特に金子さんのが好きなんですよ
ありがとうございます!!もっともっとみたいです!
金子さん大ファン!❤さま
はじめまして。コメントありがとうございます。
私も金子みすゞさんの詩が大好きです。
機会があれば、また他の詩を紹介したいです。
はい!よろしくおねがいします!!