石垣りん「空をかついで」

石垣りんさんの「空をかついで」という詩を紹介します。

何の前置きもなくても、すっと心に入る詩なので、さっそく引用しますね。

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石垣りん「空をかついで」

空をかついで

肩は
くびの付け根から
なだらかにのびて。
肩は
地平線のように
つながって。
ひとはみんなで
空をかついで
きのうからきょうへと。
子どもよ
おまえのその肩に
おとなたちは
きょうからあしたを移しかえる。
この重たさを
この輝きと暗やみを
あまりにちいさいその肩に。
少しずつ
少しずつ。

詩の鑑賞と解説

「空をかついで」は、石垣りんさんの第三詩集『略歴』に所収されています。1979年(昭和54年)に刊行された詩集です。

子どもと大人で感じ方が違う詩

私がはじめてこの詩を目にしたのは、まさに子どもの頃でした。

国語便覧の片隅に掲載されていたからです。学校の授業で習うことはありませんでしたが、誰に言われなくても便覧を片っ端から読むような文学の虫だった私の目に、その詩は飛び込んできました。

実は子どものころは、さほどその詩に感動することはありませんでした。

ここに書かれている「重たさ」も「輝きと暗やみ」も、ピンと来なかったからです。

それでもなぜか記憶に鮮烈に残っていて、今もその便覧を片手にこの記事を書いているところです。

今、大人になって改めてこの詩を読み返してみると、あまりの奥深さに愕然としてしまいます。

私も子どもの世代のちいさな肩に、「重たさ」や「輝きと暗やみ」を移しかえていないか、ドキリとさせられます。

ここで言う「暗やみ」は、負の遺産のことでしょう。

日本は高齢化社会になり、借金も雪だるま式に増え、環境汚染も進んでいるため、子どもの世代にその負担がかかっていきます。

詩の重たさが今も変わらない

「空をかついで」は40年以上前に発表された詩ですが、未だにその重たさを損なうことはありません。

ふつう、詩の価値が普遍的であることは喜ばしいことですが、この詩に限って言えば、手放しに歓迎できないでしょう。

それだけ社会の「暗やみ」の部分が、変わっていないということなんですね。

昭和が平成になり令和になって、問題はますます複雑に絡み合っています。

ところで日本には、石垣りんさんの詩をはじめ、数多くの素晴らしい詩があります。自然や人間の本質を詠うものから、社会の盲点を突く詩まで、実にさまざまです。

「空をかついで」を読むと、こういった詩の魅力こそ、子どもたち世代の肩に移していきたいと願わずにはいられません。

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