当ブログでは毎月1編ずつ、その月にちなんだ詩を紹介する予定です。
5月の今回は、室生犀星の「五月」です。
五月
悲しめるもののために
みどりかがやく
くるしみ生きむとするもののために
ああ みどりは輝く
室生犀星は1889年(明治22年)、金沢で生まれました。
複雑な家庭環境のなか、文学に目覚めて、多くの素晴らしい抒情詩や小説を残しました。
「五月」の詩を見ると、犀星がどれほど五月を待ち望み、そしてその到来を歓んだか伝わってきます。みどりの輝く季節として、そして、人生の輝く時としての五月です。
犀星が幼い日を過ごした金沢は冬がとても長く、四月まで降雪が続きます。
犀星は生まれてすぐに養子に出されて、実の両親のぬくもりに満たされないまま育ちました。
その犀星が書いた「五月」の詩だから、心に沁みわたるのですね。
5月におすすめの詩
寺山修司「五月の詩」…きらめく季節にたれがあの帆を歌ったか
五月の新緑が眩しい季節が巡ってくるたび、寺山修司の「五月の詩」を思い出します。 寺山修司は、詩・短歌・俳句・戯曲・エッセ...
寺山修司にとって「五月」は特別な季節。
第一作品集『われに五月を』でデビューして、五月に亡くなられました。
『われに五月を』の序詩「五月の詩」について記事を書いているので、もしよかったらご覧くださいね。
誕生日・忌日一覧(5月)
※青文字の氏名をクリック(タップ)すると、その詩人の作品一覧を見ることができます。
誕生日
草野心平 1903年(明治36年)5月12日-1988年(昭和63年)11月12日
忌日
萩原朔太郎 1886年(明治19年)11月1日-1942年(昭和17年)5月11日
高田敏子 1914年(大正3年)9月16日-1989年(平成元年)5月28日
寺山修司 1935年(昭和10年)12月10日-1983年(昭和58年)5月4日
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