【12月の詩】茨木のり子「十二月のうた」

当ブログでは毎月1編ずつ、その月にちなんだ詩を紹介する予定です。

12月の今回は、茨木のり子さんの「十二月のうた」です。

十二月のうた

熊はもう眠りました
栗鼠もうつらうつら
土も樹木も
大きな休息に入りました

ふっと
思い出したように
声のない 子守唄
それは粉雪 ぼたん雪

師も走る
などと言って
人間だけが息つくひまなく
動きまわり

忙しさとひきかえに
大切なものを
ぽとぽとと 落としてゆきます

気が付けばあっという間に、1年も終わろうとしています。

私は会社で事務をしているのですが、今がいちばんの繁忙期で、まさに「息つくひまなく
動きまわり」という日々が続いています。

「ああ!もう12月なんだ!」と、デスクにある卓上カレンダーをめくって、先日も重いため息をこぼしたばかりです。

勤め先は都会のど真ん中にあるのですが、ビルがそびえ立つなかにも意外と草木が多くて、街路樹が黄金の葉を散らしています。

人間は忙しくしていても、自然は休息に入る季節なのですね。

茨木のり子さんの「十二月のうた」を改めて読み返してみて、私も大切なものをぽとぽと落としていないか、振り返っているところです。

ところで、茨木のり子さんの詩は、人を素直に「反省」させるような力があると感じているのは、私だけでしょうか?

「自分の感受性くらい」や「倚りかからず」など、彼女の詩に頬を打たれたようにハッとさせられて、自分の弱い心中を深く見つめずにいられなかったこと、多々あります。

「反省」といっても、自虐的ではなくて、謙虚になるような思いですね。

「十二月のうた」も、そんな風に、胸に手を当てたくなるような詩です。

12月におすすめの詩

山村暮鳥「雪」…天からふってきた雪だもの
山村暮鳥の詩は、明るくあっけらかんとしている詩が多いです。(晩年の詩は特に) それなのに、読んでいるときゅっと心をつかま...

誕生日・忌日一覧(12月)

※青文字の氏名をクリック(タップ)すると、その詩人の作品一覧を見ることができます。

誕生日

谷川俊太郎 1931年(昭和6年)12月15日-

寺山修司 1935年(昭和10年)12月10日-1983年(昭和58年)5月4日

忌日

山村暮鳥 1884年(明治17年)1月10日-1924年(大正13年)12月8日

石垣りん 1920年(大正9年)2月21日-2004年(平成16年)12月26日

コメント

  1. 渡辺。。。 より:

    まじめでそれでいて温かみを感じるいいブログですね。。。

    • kotoba より:

      渡辺。。。さま
      初めまして。
      温かなコメントをありがとうございます。
      渡辺さまのお言葉に、励まされる思いです。

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